想いと優しさが空回る悲しさ 菜の花の彼〜鷹人
[まとめ買い] 菜の花の彼―ナノカノカレ―(マーガレットコミックスDIGITAL)
- 作者: 桃森ミヨシ,鉄骨サロ
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
この作品はとりあえず2巻まで読んでほしい。
1巻を読んだ時には良くも悪くも普通の少女漫画、としか思わなかった本作品。
先日2巻まで無料配信されていたのでこの期に…と読んだら驚いた。
いわゆる"当て馬キャラ"の主人公の元彼「鷹人」がとても良いヤンデレだったのだ。
高校生になってからもトラウマを抱えていた菜乃花は年下の中学生隼太に出会い、その優しさに惹かれていく。
しかし鷹人は未だに菜乃花に強く執着していた。
鷹人は言動が心と裏腹になってしまう不器用な人間なので、いつもボタンを掛け違えるように空回る。
そして菜乃花は鷹人の傷跡を踏み台に隼太を愛するようになってしまっていた。
菜乃花と鷹人の内面や空気感がとても似ている事が作中で触れられており、二人のモノローグは度々重なって巧みに表現されている。
鷹人はその事実に気付き打ちのめされるが、菜乃花を守りたいが為に自分の気持ちを押し殺すようになっていく。
好きなのに傷付けて、守りたいから自分を押し殺す。
菜乃花にはそんな繊細な内面がまるで伝わっていないあたり、鷹人は当て馬キャラの中でも稀に見る不憫なキャラクターだ。
身勝手に、暴力的に見える菜乃花への執着心も、純粋な好意や思いやりから生まれたものなのに、この先どう捻れ歪んで行ってしまうのか…
絶望的な鷹人の恋の行方、闇しか見えない。
そしてヤンデレキャラはその愛情や依存心が満たせなくなった時、代償行為に走る。
鷹人は押し殺した気持ちをどう爆発させるのか。
更なる病みを大いに期待している。
鷹人はヤンデレタイプとしては依存型。そして失くしたものを取り戻そうとするタイプも併せ持っていると思う。