ヤンデレ研究日誌

腐女子によるヤンデレ研究レポート

感情を捨てた子供の獣 gift 上〜白石勁

gift 上  白い獣の、聞こえぬ声の、見えない温度の、 (バーズコミックス ルチルコレクション)

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ボクシングジムトレーナーの御子柴宥は、父親のようなボクサーになれずしかもゲイである自分に罪悪感を感じていた。

そんなある日、路地裏で喧嘩に巻き込まれそこで類い稀なるボクシングのセンスを持つ銀髪の男、白石勁と出会う。

クオーターで外国人のような外見をしている勁は、痛みや感情を知らないかのようなおよそ熱を持たない人間に宥には見えた。
宥がゲイであると知っていた勁は、ボクサーを目指すふりをすることを黙らせる脅しと称して宥に肉体関係を強要するのだが…

あらすじだけ見るとよくある商業BLのストーリーだが、勁が実は崩壊家庭で育ったアダルトチルドレン(スケープゴートタイプ)である事が他と一線を画している点だろう。

アダルトチルドレンヤンデレは密接な関係にあると思う。
正常でない環境で育った子供は、正しい感情表現がわからず、常軌を逸脱した言動に陥りやすい。

母親には捨てられ、父親と兄からは虐待を受け売春をさせられていたという壮絶な過去を持つ勁。
痛みや感情がないのではなく、傷付かないために感情を捨ててきたのだ。

そんな勁が宥と出会い惹かれるようになってから、捨ててきた感情を徐々に取り戻す。
そして自分のことを唯一本当に気にかけ愛してくれる宥に深く依存していくのだった…。


宥に褒められるためにボクシングで勝ち続けなければならない、と強く思い込む場面でこの上巻は終わっている。


まともな愛情を得られなかった子供は、自分を愛し育て直してくれる人を見つけると激しく依存し甘えるという。

勁はヤンデレタイプ別にすると依存型のヤンデレだろう。

下巻の発売が待ち遠しい。